【ナトリウム徹底解説】癌の危険も?食塩を摂り過ぎていませんか?
あたなは食塩を摂り過ぎていませんか?
ナトリウムは食塩から摂取されますが、日本人は食塩の摂取量が多いと言われています。
本記事をご覧の方にも高血圧の方がいるかも知れません。
高血圧は腎臓病や胃がんを引き起こす可能性があり、食塩摂取量を含めた生活習慣の改善が必要になります。
本記事では、ナトリウムに関して詳しく解説していきます!
Contents
ナトリウムとは?
ナトリウムは身体を構成するミネラルの一種で、pH・浸透圧の調整といった働きがあります。
ナトリウム(Natrium)は実はドイツ語で、英語ではソディウム(Sodium)といいます。
主に食塩(塩化ナトリウム)、および、食塩を含む調味料から摂取されます。
日本人の場合、欠乏することはあまりなく、摂り過ぎる場合の方が多くなっています。
全体的なミネラルに関してはこちらの記事で詳しく解説していますので、是非読んでみて下さい!
ナトリウムの効果
ナトリウムには以下の特性があります。
・カリウムと協働して細胞の浸透圧を調整する ・神経に刺激を伝達する |
ナトリウムはカリウムと協働して、細胞の浸透圧を調整します。
摂取したナトリウムの90%以上は、腎臓を経由して尿として排泄されます。
人間の身体は、体内のナトリウムを一定に保ちます。
そのため、ナトリウムの摂取量が増えると、尿として排泄される量も増えます。
逆に、ナトリウムの摂取量が減少すると、尿中の排泄量も減少します。
従って、24時間の尿中のナトリウムの排泄量から、摂取したナトリウムの量を推定できます。
ナトリウムが不足すると
ナトリウムが不足すると、以下のような欠乏症状が出ます。
・脱水症状 ・熱中症 ・血圧低下 ・腎臓の弱化 |
夏季の大量発汗でナトリウムが不足し、脱水症状を引き起こす可能性があります。
汗にはナトリウムが含まれており(汗の成分の0.4%程度)、汗をかくと身体から塩分が失われます。
この時、水道水など普通の水を飲むと、体内のナトリウム濃度が下がります。
身体は体内のナトリウム濃度を一定に保とうとするため、水の排出を増やして、ナトリウム濃度を高めようとします。
つまり、大量発汗時に普通の水を飲むと、逆に脱水症状を引き起こしてしまいます。
汗を多くかく場合には、水だけでなく塩分も同時に摂取する必要があります。
ナトリウムの必要量・目標量
ナトリウムの摂取量は、食塩の摂取量に依存します。
食塩相当量とナトリウムは、以下の式で算出できます。
食塩相当量(g) = ナトリウム(g) × 2.54
日本人の場合、食塩の摂取量は多く、普通に食事をしていればナトリウムの不足や欠乏は殆どありません。
逆に、日本人はナトリウムの過剰摂取による生活習慣病に気を付ける必要があります。
ナトリウムの必要量
腎臓が正常であれば、腎臓のナトリウムの再吸収機能により、体内のナトリウム濃度は一定に維持されます。
そのため、ナトリウムの排泄量から必要量を算定できます。
厚生労働省発行の”日本人の食事摂取基準報告書”において、ナトリウムの必要量が規定されています。
ナトリウムの必要量:
600mg/日(食塩相当量1.5g/日) 世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、 ナトリウムの必要量は200~500mg/日となっています |
日本人は食塩の摂取量が多いため、普通に食事をしていればナトリウムが必要量を下回ることはありません。
しかし、夏季の大量発汗による熱中症対策として、必要量+αのナトリウムの摂取は必要になります。
ナトリウムの目安量
厚生労働省発行の”日本人の食事摂取基準報告書”において、ナトリウムの目安量が規定されています。
食塩相当量の目安量
男性:7.5g/日未満 女性:6.5g/日未満 世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、 食塩相当量の目安量は5g/日未満となっています |
性別・年齢別の食塩相当量の目標量の詳細は以下の表を参照してください。
(厚生労働省発行の”日本人の食事摂取基準報告書(2020年度版)”より引用)
ナトリウムによる生活習慣病・癌の発症
食塩の過剰摂取は、以下に示すように様々な生活習慣病・癌のリスクとなります。
・高血圧 ・慢性腎臓病 ・胃がん |
高血圧
「塩分摂取量が多いと高血圧になる」ということは多くの人が認識しているかと思います。
食塩の摂取量が多いと、体液が濃くなります。
体液を薄めるためには、水を摂取して体液を増やす必要があります。
(ラーメンなどの食塩を多く含む食事をすると、のどが渇くと思います)
体液が増えると、心臓は圧力を高めて、多くの液体を運ぼうとします。
そのため、食塩の摂取により血圧が高くなります。
高血圧は、遺伝による要因と環境(生活習慣)による要因が相互作用し、発症します。
従って、高血圧者のみならず、高血圧の遺伝素因のある人も、食塩摂取量を含めた生活習慣の改善が必要になります。
世界の主な高血圧治療ガイドラインの減塩目標値が6g/日未満となっているため、高血圧予防では食塩の摂取は6g/日未満にする必要があります。
慢性腎臓病
日本腎臓病学会発行の”エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018”によると、
食塩の過剰摂取による高血圧が、慢性腎臓病の発症に起因していると言われています。
慢性腎臓病の予防においても、食塩の摂取は6g/日未満にする必要があります。
胃がん
数多くの研究において、食塩の摂取量が多いと、胃がんのリスクが高くなることが報告されています。
参考文献:
Ge S et al. ”Association between Habitual Dietary Salt Intake and Risk of Gastric Cancer: A Systematic Review of Observational Studies”, Gastroenterol Res Pract., Oct. 2012.
D’Elia L et al. “Habitual salt intake and risk of gastric cancer: a metaanalysis of prospective studies”, Clin Nutr., pp489-98, Aug. 2012.
高血圧の改善
高血圧を改善するために重要なのがカリウムです。
カリウムは尿へのナトリウムの排泄を促進し、血圧を低下させます。
ナトリウムの摂取量を減らし、カリウムの摂取量を増やした結果、総死亡率・循環器疾患による死亡率・脳卒中による死亡率といった高血圧が原因と考えられる疾患による死亡率が低くなったという報告があります。
参考文献:
Okayama A et al. “Dietary sodium-to-potassium ratio as a risk factor for stroke, cardiovascular disease and all-cause mortality in Japan: the NIPPON DATA80 cohort study”, BMJ Open., Vol. 6, 2016.
高血圧の改善のために、ナトリウムの摂取量を減らし、カリウムの摂取量を増やすことが重要です。
手軽にカリウムを摂取できる食品として、バナナや干し芋があります。
干し芋は食物繊維も多く、腹持ちがいいため個人的にオススメです。
(筆者はダイエット中など、甘いものが食べられない時によく食べています)
まとめ
・ナトリウムは身体を構成するミネラルの一種で、pH・浸透圧の調整といった働きがあります
・主に食塩(塩化ナトリウム)、および、食塩を含む調味料から摂取されます
・ナトリウムはカリウムと協働して、細胞の浸透圧を調整します
・ナトリウムが不足すると、脱水症状、熱中症、血圧低下、腎臓の弱化といった欠乏症状が出ます
・大量発汗時に普通の水を飲むと、ナトリウム濃度が下がり、逆に脱水症状を引き起こしてしまいます
・食塩相当量は、食塩相当量(g) = ナトリウム(g) × 2.54で算出できます
・日本人はナトリウムの摂取量が多く、過剰摂取による生活習慣病に気を付ける必要があります
・ナトリウムは最低でも600mg/日(食塩相当量1.5g/日)摂取する必要があります
・15歳~49歳の食塩相当量の目安量は、男性:7.5g/日未満、女性:6.5g/日未満となっています
・食塩の過剰摂取は、高血圧、慢性腎臓病、胃がんといった生活習慣病・癌のリスクとなります
・高血圧予防では食塩の摂取は6g/日未満にする必要があります
・高血圧の改善のために、ナトリウムの摂取量を減らし、カリウムの摂取量を増やすことが重要です